財務戦略
Sustainability
考え方
外部環境
気候変動をはじめとする多様な社会的課題の解決と持続可能な社会の実現に向けて、金融が果たす役割がますます重要視されています。金融機関や投資家が、企業の業績だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)の視点を考慮して投融資を行うことで、ESG課題解決のための資金の流れを生み出していくサステナブルファイナンスが拡大してきています。このような動きをさらに加速させていくための取り組みが官民を挙げて行われています。
サステナブルファイナンスの推進には、資金調達を行う企業の情報開示の充実が不可欠です。上場企業や公募社債発行企業に対しては、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示が義務化されています。
現状と課題
当社は、2020年にグリーンボンドを発行しました。資金使途は、グリーン適格基準を満たすハイブリッド自動車、EVおよび燃料電池自動車の新規購入資金に限定しています。当社がこれらの環境性能の高い車をリース車両としてお客さまに提供することに加え、エコドライブの啓発、適切なメンテナンスの実施、低燃費タイヤの利用などを総合的かつ継続的に行うことにより、走行時のCO2排出量削減を支援しています。
2021年には、環境改善と社会貢献の双方を目的としたサステナビリティボンドを発行し、資金使途にモビリティサービス「SMAS-Smart Connect」用の車載器購入資金を加えています。これらの車載器を使用した当社のサービスは、お客さまの安全運転を支援し、人とモノの移動に関する安心・安全な社会の実現に寄与しています。
当社はこれらESG債を継続的に発行していますが、毎回多くの投資家から投資表明(当社の取り組みに賛同し、社債を購入したことを公表すること)を得ています。
ESG債の発行には、第三者評価取得、資金使途確認、定期レポーティングなどの負担が生じますが、当社の取り組みに対する投資家からの評価も高く、長期安定資金の確保や当社経営への信頼を高めるなどの点でサステナビリティ経営推進に役立てています。
今後に向けて
サステナブルファイナンス推進の動きは今後も続くものと予想されます。開示基準や評価基準に関する国際的な動きは絶えず変化しており、新たなファイナンス手法も登場しています。最新の情報を常に把握し、適切な開示を行い、金融機関や投資家からの信頼に応えることが重要です。また、新しいファイナンス手法を研究し、活用可能なものは取り入れていきたいと考えています。
持続的な成長を達成するためには、金融市場が不安定なときでも揺るがない強固な財務基盤が必要です。これにより、投資を中断することなく、SDGsに向けた取り組みを続けていくことが可能になります。当社は、長期、固定金利での調達を中心とした安全性重視の資金調達を今後も続けていきます。さらに、調達ソースの多様化を進め、流動性枠を十分に確保し、返済・償還期日の分散を図ることで財務リスクの抑制に努め、サステナブルな事業拡大を支える基盤を強化していきます。
財務責任者インタビュー

新たなクルマ社会の実現に向けて
強固な財務基盤で持続的成長を支える
常務執行役員 本社部門担当役員(経理部・財務部)
橘 淳
財務責任者インタビューを読む
財務リスクを軽減する安全性重視の資金調達体制
サステナビリティ経営において財務部門の果たすべき役割は、資金の流れを維持し、持続的な成長と安定的な経営を支える強固な基盤を構築することです。その中心にあるのが、安全性を重視した資金調達です。当社は、金利変動リスクを軽減し、堅実な資金確保につながる長期固定金利による資金調達を主に行ってきました。日本銀行(日銀)が金融政策の正常化を進める中、市場金利はハイペースで上昇してきましたが、当社の資金調達コストは緩やかな上昇にとどまっており、影響をコントロールできています。
日銀は今後も政策金利の引き上げを続ける方針ですが、一方で米国の関税政策により世界経済の先行きの不透明感が強まっており、市場のボラティリティが高まっています。このような状況においては、営業資産(主に自動車リース)の満期到来状況に合わせて借入期間などを設定するALM(Asset Liability Management:資産・負債総合管理)を徹底することが重要と考えています。当社は、「事業領域の拡大」という大方針のもとでグループ会社を通じたビジネスが拡大していますが、グループ全体の営業資産状況を踏まえた資金調達を当社が行い、各社にグループファイナンスを行うことで連結ベースのALMを実現し、リスクをモニタリングしています。
加えて、十分な金額の当座貸越契約やコミットメントライン契約、全国約70行に分散された取引金融機関、返済・借り換えのタイミングの分散といった対応により流動性リスクを最小化しています。また、取引金融機関との良好で安定的な関係構築も重視しており、定期的なコミュニケーションのみならず、協働によるオートリースビジネスの拡大などの営業分野も含めた重層的な関係を構築している取引先もあります。このように、多くの金融機関から積極的な支援を得られる関係を構築している点も当社の財務リスクを軽減につながる強みであると認識しています。
多様なステークホルダーと一体となり、新たなクルマ社会の実現を目指す
当社は資金調達手段の多様化を図るため、2018年から自動車リース業界初となる公募社債を発行しています。社債について投資家にご案内した際に、「当社の環境配慮型車両普及促進の取り組みが国際的なグリーン適格基準にも適合する」とご評価いただいたことをきっかけに社内で検討を進め、2020年にグリーンボンドの発行に至りました。さらに、高度な交通事故削減サポートなどの実現に向けてパートナー企業と共同開発したモビリティサービス「SMAS-Smart Connect」が社会貢献につながるサービスであることから、2021年にはそれに用いる車載器の購入を使途に加えたサステナビリティボンドを発行しました。
これらの資金調達手法は、より安全で環境にやさしいクルマ社会の実現に結びつくことはもちろん、投資家の皆さまにとっては債券投資による収益を享受しつつ、投資表明を通じて環境・社会への貢献を積極的に示すことにもつながります。当社としても、サステナビリティへの取り組みに賛同してくださる投資家から広く支援を募ることができるようになりました。2024年からはサステナビリティボンドのプログラムを一部の子会社にも拡大しており、グループ全体でのサステナビリティ推進を行っています。
SMASのサステナビリティ経営が目指すのは、自動車リース業界や自動車産業、さらには金融機関や投資家の皆さまと連携し、より社会に貢献できるように自動車ビジネスを進化させていくことです。今後も、財務面からEV推進や関連事業をバックアップし、新たなクルマ社会の実現を目指していきます。