ガバナンス/コンプライアンス&リスク管理責任者対談
Sustainability
成長と持続可能性を両立するSMASのコーポレートガバナンス
阪本 コーポレートガバナンスのあるべき姿とは、企業の成長と持続可能性を両立させることだと私は考えています。そのために私が果たすべき役割は三つ。一つ目は事業環境の変化に機敏に対応すること、二つ目は社内全体にガバナンスを効かせる仕組みを強化すること、三つ目はステークホルダーとのコミュニケーションを活性化し、社外にSMASの価値や魅力を伝えていくことです。
小林 CCO(Chief Compliance Officer)とCRO(Chief Risk Officer)を兼務する私の役割は、俯瞰的な視点に立ち、健全な成長を阻害する要素を排除する管理体制を確立していくことだと考えています。コーポレートガバナンスの中でも、コンプライアンス遵守は企業価値向上に直結するもの。企業防衛だけでなく、社員の意識を向上させ、企業風土改善にもつながります。また、企業の持続可能性を考えると、リスク管理も重要なテーマです。事業上のリスクはもちろん、ESGに関連する多様なリスクも対応していく必要があります。
阪本 SMASの企業姿勢が問われる事案が生じたときには、全社的な視点から総合的に判断し、各部門で連携してスピーディに対応する体制づくりが不可欠です。CCO、CROはまさに俯瞰的な立場から組織全体に横串を通せる統率者だといえます。
企業価値向上へとつなげるコンプライアンス&リスク管理体制
小林 SMASのコンプライアンスは、法令のみならず社会規範や倫理、道徳も含まれ、広範囲にわたります。私の役割としては、違反や逸脱を未然に防ぐための監督・管理体制の強化が第一です。ただし、一方的に遵守を命じるだけでは組織の硬直化につながりかねません。自分たちが安心して働けて、お客さまや社会の評価につながると認識してもらうための教育や情報発信も大切だと考えています。
また、リスク管理では、リスクを適切に評価する目が必要だと考えています。リスクをすべて避けて通れば、事業活動そのものが萎縮するおそれが出てきます。例えば、投資にあたっては投資先のリスクを評価しなければなりませんが、事業の成長フェーズでは、あえてリスクをとるべき局面もあります。コンプライアンスとリスクの管理体制を成長のドライバーとして定着させたいと考えています。
阪本 コンプライアンスやリスクを「守る」「避ける」だけでなく、成長にどうつなげるかという視点を私たちは重視しています。SMASでは「コンプライアンスマニュアル」や「総合リスク管理規定」として明文化し、適切に対応していく枠組みを構築するとともに、「コンプライアンス・業務支援室」を創設しました。
小林 コンプライアンス・業務支援室では、社員がコンプライアンス遵守の重要性を理解し、適切な行動がとれるよう、定期的な教育・研修、所管部署のマネジメントを行っています。また、問題が発生したとき、影響を最小限に抑えて解決・改善につなげる仕組みとして、「事件・事故発生時の即一報」制度、「コンプライアンス・デスク」制度を導入しています。
「事件・事故発生時の即一報」制度では、経営に影響を与えかねない事案が生じたら、所管部署から直ちに法務部・経営企画部の担当に報告します。経営に影響を及ぼすと判断したら即座に取締役会へ報告し、そこでステークホルダーに影響が及ぶと判断されれば、株主に報告する制度です。
阪本 平時における取締役会や経営陣への定期的な報告と並び、不芳事案をいち早く吸い上げて迅速に対応できる体制を整えています。稀に各部署から「これは即一報に相当する事案でしょうか?」と問い合わせがくることがあります。そのときは、「その迷いが生じた時点で報告してください」とお答えしています。
小林 何より、報告が上がってくることが大切です。「コンプライアンス・デスク」制度では、ホットライン、指定弁護士、SCコンプライアンス事務局、SMFG総務部の4つの窓口を開いています。リスクは顕在化してから対応に回るのでは後手となりやすいものです。わずかな兆候の段階から、原因解明と改善に乗り出していくのが、私たちが目指すところです。
阪本 内部統制においても、業務規則を仔細に定めています。社員も最初は大変かもしれませんが、これが社員を守り、お客さまの信頼を守るものだと私は考えています。健全性を維持する仕組みとして、引き続きしっかり運用していきたいと思います。
守りと攻めの両輪をドライブしてサステナビリティ経営を実現する
阪本 SMASではコーポレートガバナンスを重視してきましたが、事業・社会の変化などに合わせ、時代ごとに見直していく必要があります。とりわけ昨今、ESG経営が重視されるようになり、社会的価値や責任が問われる時代になってきました。
小林 一部の自動車関連会社の不祥事が相次いでいますが、これを自分事としてガバナンスを強化すると同時に、クルマへの信頼回復や期待醸成に果たす役割を考えていくときだと思います。クルマの価値や使われ方も多様化していますが、SMASもデータ活用やEVなど新たなモビリティサービスの開拓に乗り出しています。
阪本 市場の変化をとらえ、新たなビジネスのチャンスをつかみとる――変化の荒波に漕ぎ出していくには、コンプライアンス遵守とリスク管理という手綱をしっかり握っていくことが欠かせません。幸いにして、私たちには堅実な経営基盤と高い技術力、優れた人財という強みがあります。これらを適切に生かせるガバナンスを発揮することで、「サステナブルな社会に向けたモビリティプラットフォーマー」への進化が可能になると思います。
小林 さらに私たちの会社は、住友商事と三井住友フィナンシャルグループ、三井住友ファイナンス&リースという株主によって支えられています。それぞれの企業が世界基準でトップレベルのガバナンスを発揮しており、私たちも同等に近い水準が求められます。それが競合他社と比較したとき、業界のリーディングカンパニーとして私たちの強みともなっていますね。
阪本 また、当社は有価証券報告書を発行しており、上場企業と同等のガバナンスを目指しています。この高い基準は、SMASの企業価値の向上にもつながっています。
さらに、サステナビリティ推進が加速しており、脱炭素の観点からEV導入に関するご相談が増えています。SMASは、ESG経営の視点からサステナビリティを事業に取り込む組織体制を整え、全社で展開するフェーズに突入しています。サステナビリティ経営は、結果的にコーポレートガバナンスの強化にもつながっていくと思います。
小林 ガバナンスをしっかり効かせて、社員全員に意識浸透を図っていくのが、私たちのミッションですね。企業経営で大切なのは、「守り」と「攻め」の両輪のバランス。コンプライアンス遵守やリスク管理は「守り」ですが、企業価値向上という「攻め」に最終的にどうつなげるか――SMAS独自の挑戦を続けたいと思います。
関連コンテンツ