ダイハツ
2020/01/09

軽スーパーハイトモデル界に異変を起こす? 新型タントの実力を徹底CHECK!!(2019年9月26日発行)

軽スーパーハイトモデル市場を作り上げたタントが満を持してFMCされ、新開発の“DNGA”プラットフォームを引っ提げて4代目となって登場。して、その実力のほどはどうなのか?ライバル車としてこのカテゴリーの頂点に位置するN-BOXと、同カテゴリーのスペーシアの2台を用意し、徹底的に比較してみた。テスターは渡辺陽一郎、永田恵一の両氏。走り、ユーティリティ&コスパ、燃費、運転支援装備をくまなくチェック!!

ダイハツ タントX 146万3400円
全長3395×全幅1475×全高1755mm、ホイールベース2460mm、車重900kg、エンジン660cc直3DOHC(52ps/6.1kgm)、JC08モード燃費27.2km/L、WLTCモード燃費21.2km/L、タイヤサイズ155/65R14
ダイハツ タントカスタムRS 174万9600円
全長3395×全幅1475×全高1755mm、ホイールベース2460mm、車重920kg、エンジン660cc直3DOHCターボ(64ps/10.2kgm)、JC08モード燃費25.2km/L、WLTCモード燃費20.0km/L、タイヤサイズ165/55R15
ホンダ N-BOX G・LターボHS 177万6600円
全長3395×全幅1475×全高1790mm、ホイールベース2520mm、車重910kg、エンジン660cc直3DOHCターボ(64ps/10.6kgm)、JC08モード燃費25.6km/L、WLTCモード燃費-、タイヤサイズ155/65R14
スズキ スペーシアギアHV XZターボ 173万2320円
全長3395×全幅1475×全高1800mm、ホイールベース2460mm、車重890kg、エンジン660cc直3DOHCターボ(52ps/6.1kgm)、JC08モード燃費25.6km/L、WLTCモード燃費-、タイヤサイズ155/65R14

Phase(1) 走りの実力はライバルと比較してどうなのか? 新開発“DNGA”の真価を探る!

●渡辺陽一郎の評価

 
 新型タントの開発で最も注目されるのは「先代型の欠点潰し」だ。先代型は走行安定性に不満があり、操舵した時の反応を鈍く抑えていた。素直に反応させると挙動変化が大きくなり、不安定な状態に陥る心配があるからだ。そこで車両を曲がりにくい設定にして安定性を確保していた。
 新型はプラットフォームを刷新して、走行安定性も底上げしている。操舵した時に、ボディが唐突にフラッと傾く先代型の挙動を改善した。挙動変化が穏やかに進んで安定性も高まったから、足回りを適度に曲がりやすい設定に改めている。先代型に比べると峠道も走りやすい。ただしS字カーブなどでボディが左右に揺り返した時は、挙動変化の滑らかさがいまひとつ洗練されていない。
 
 そこでタントとN-BOXを14インチタイヤ装着車同士で比べると、操舵した時の車両の動きは、タントが少し機敏で曲がりやすいN-BOXは、背の高い軽自動車らしくマイルドだ。しかしボディが傾く時の姿勢変化は、N-BOXがタントよりも滑らかに感じる。つまり、両車の走りは一長一短だ。スペーシアギアは、カーブを曲がる時のボディの傾き方が大きい。もう少し姿勢変化を抑えたほうが安心できる。
 次は乗り心地を比べたい。タントは新型になって粗さを抑えたが、ボディの傾き方を抑制して安定性を向上させたこともあり、乗り心地は今でも少し硬い。N-BOXは快適だ。足回りが路上のデコボコを上手に吸収して、なおかつシートの座り心地もタントやスペーシアに比べてボリューム感がある。足回りとシートの相乗効果で乗り心地を高めた。スペーシアはカーブを曲がる時のボディの傾き方が大きめで、安定性はいま一歩だが、乗り心地はN-BOXに次いでゆったりした印象。
 
 以上のようにタントは先代型の欠点だった操舵感の鈍さやカーブの曲がりやすさを改善したが、その影響もあって乗り心地が少し硬いスペーシアギアは、少し曲がりにくいが、乗り心地は柔軟だ。そしてN-BOXは、操舵感はマイルドな設定だが、乗り心地は厚みのあるシートと相まって快適に仕上げ、走りのバランスが最も優れている
 動力性能は、新型タントがCVT(無段変速AT)に改善を加えて加速力を強めた。ノーマルエンジンは車両重量が900kg近いために動力性能が足りないが、素直な性格で運転しやすい。RSのターボは、1LのNAエンジンに似た感覚で余裕がある。
 
 N-BOXのターボは、さらに低い回転域から過給効果を発揮して加速力を高めた。
 なおN-BOXは、ノーマルエンジンも実用域の駆動力が高い。車両重量のわりに排気量が小さな軽自動車ではターボよりもノーマルタイプで差が付きやすく、エンジンの総合的な性能評価は1位がN-BOX、2位はタント、3位がスペーシアになる。

渡辺陽一郎の評価
※評価は10点満点
渡辺氏は新型タントの走りを先代型よりも挙動変化が穏やかになり、安定性が高まったことで足回りも適度に曲がりやすい設定に改めたと評価

●永田恵一の評価



 タントのNA車から見ていくと、まず動力性能はスタートダッシュが鋭くなった点、一人乗車であれば中央道の談合坂のキツい上り坂も問題ない絶対的な動力性能など、大きな進歩を感じる
 また、ダイハツの軽のNAエンジンは周りに比べるとエンジンの音質も騒がしいという古さがあったが、これも耳障りでないものになった点も評価できる。このあたりは40kgの軽量化、エンジンの大改良、変速幅の広いCVTの採用の賜物だろう。ターボ車もNAほどではないが、着実な進歩を確認できた。
 ハンドリングはボディ剛性の向上が基盤になっているようで、標準車でも軽スーパーハイトワゴンや走りにいい印象の薄いダイハツ車のイメージで乗ると、目が覚めるようなシャープなハンドリングと高速道路でも申しぶんのないスタビリティを得た。
 しかし、その代わりなのか、乗り心地は路面の凹凸が大きくなってくるとリアのガタガタした感じのある不快な硬さを感じるのが残念だ。この傾向はタイヤが15インチになるカスタムRSのほうが強く、標準車のほうがいくぶんバランスはいい方向となる。
 このことを考えると、運転しているぶんにはターボで14インチタイヤを履くターボXがベストなタントと想像する。
 
 N-BOXの標準ボディ+ターボは、走行シーンを問わず同クラスでは群を抜いて静かなことに驚く。動力性能は「排気量が大きくなったような」という軽のターボのなかでは標準であるが、発進時のターボラグもほとんどなく非常に扱いやすい点も素晴らしい。乗り心地も荒れた路面でもしなやかに衝撃を吸収してくれ、静粛性と乗り心地のよさで軽に乗っているのを忘れるくらいだ。
 しかし、標準ボディで高速道路を走ると乗り心地と引き換えなのか、フラつきとまでは言わないが、柔らかすぎる感もあり、高速道路や峠道を走る機会が多いなら、乗り心地はさほど悪くならず、シッカリとしたスタビリティを得られるカスタムを薦める
 
 スペーシアカスタムギアターボは超小型モーターのアシストの恩恵もあるのか、スピードの乗りがよく動力性能は同クラスのトップだ。しかし、ハンドリングは特にロールが大きいこともなく普通ではあるが、タントとN-BOXに比べるとコーナリング中のハンドルの落ち着きに欠けるのが気になる
 乗り心地も路面が悪くなるとガタガタとするうえに上下動の収まりも悪く、オーバーに表現するとリアがロデオのように跳ねるというか暴れる。そのわりに高速道路ではフラフラ感もあり、悪い意味で「軽に乗っている」という安っぽさは一番強かった。残念ながらスペーシアは走りだけでなく、全体的に軽々しい感じがした

永田恵一の評価
※評価は10点満点
永田氏は、新型タントの乗り心地は路面の凹凸が大きくなるとリアのガタガタした感じが不快な硬さだったと標準のタントよりもカスタムRSのほうにやや辛い評価

Phase(2) ユーティリティ&コストパフォーマンスは? 革新的動線の進化度を評価

REPORT/渡辺陽一郎



 新型タントの特徴は、先に述べた先代型の欠点潰しと、ミラクルオープンドアをさらに有効活用するミラクルウォークスルーパッケージだ。
 ミラクルオープンドアは、中央のピラー(柱)をスライドドアに内蔵させた歴代タントの特徴的な機能で、前後のドアを開くと開口幅が1490mmに広がる。子育て世代のユーザーは、ベビーカーを持って車内に入り、子どもを後席のチャイルドシートに座らせる作業を簡単に行える。
 
 新型タントは、売れ筋グレードの運転席に540mm、助手席に380mmのスライド機能を装着した。助手席を前端に寄せると、左側後席の足元空間が大きく広がり、チャイルドシートの着座作業がしやすい。この時に運転席を後端に寄せておけば、作業を終えたあとでスムーズに運転席に座れる。つまり、新型タントはミラクルオープンドアから乗り込んで運転席に座るまでの動線に配慮した。
 そしてミラクルオープンドアを使って、高齢者の乗降性も向上させている。オプションでは、助手席と後席に装着する大型の乗降グリップ、電動でせり出すサイドステップなどを選べる。これらの機能はN-BOXやスペーシアとは異なるタントの特徴だ。
 
 先の項目で述べたように、乗り心地やシートの座り心地はN-BOXが優れる。内装も上質だからN-BOXの価値観はセダン的だ。対するタントは、乗降性やシートアレンジなどの使い勝手に重点を置き、ミニバン的な価値観を備える
 これらの機能も踏まえて割安感を比べるとタントが優秀だ。全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車は人気のカテゴリーとあって、ライバル競争が激しく、あとから登場した車種ほど価格据え置きで割安になる。標準ボディの買い得グレードは全車が140万~150万円に集中する。新型タントX(146万3400円)は、先代X・SA IIIと同等の価格でサイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプ、運転席ロングスライド機能などを加えた(助手席のスライド機能は先代型も装着)。
 その代わり運転席シートリフターとチルトステアリングを先代型の標準装着からオプションに落とした。価格を150万円以下に抑えながら、極限まで装備を充実させるべく、標準装着品の取捨選択に悩んだ結果だ。
 N-BOXは標準ボディのG・Lホンダセンシング(149万9040円)に車間距離を自動制御できるクルーズコントロールをなどを備えるが、サイド&カーテンエアバッグはオプションだ。あとから登場した新型タントの割安感が僅差でN-BOXに勝っている。

■各車の注目ポイント一覧
新型タントのウリはミラクルウォークスルーパッケージ。助手席側から乗り込んで運転席に座るまでの動線のよさを特徴としている
進化度評価 ※評価は10点満点
意外にも新型タントはターボ車とNA車の燃費差が大きくなかったが、ターボ車は高速燃費でライバル車と差がついた

Phase(3) 軽ユーザーのこだわりどころ! 実燃費はどのくらいなのか?

REPORT/永田恵一



 ●高速道路 
  コースは富士五湖道路河口湖インターから中央道国立府中インターという、下り坂が多い約80kmの道のり。トップとなる23.4km/Lを記録したスペーシアギアターボは超小型モーターによるアシストが小さくない効果のあった結果だろう。
  N-BOXの標準ボディ+ターボもスペーシアギアターボとほぼ同等の燃費を記録した。タントカスタムターボが20.9km/Lと伸び悩んだのは、後述する出来の悪い先行車追従型のACCを確認のため一定の距離で使ったせいもある。
  が、使わなくても燃費が伸びない傾向だったのが原因は明確ではないにせよ、気になる。タントのNA車は及第点といえる。



 ●市街地 
  コースは中央道国立府中インター付近からBC編集部という約30kmの道のりで、流れは都内の平均といわれる20km/hを若干超え、悪くなかったが、暑さでエアコンによる負担は大きかった。
  トップの15.4km/Lを記録したスペーシアギアターボはアシストに加え、クリープ現象の際のEV走行とアイドリングストップ中でもエアコンが少しでも効くようエバポレーターに蓄冷剤を入れたエコクールといった細かい積み重ねが効いた結果だろう。
  ほかの3台の燃費は大差なく、同時にタントはNAとターボの燃費の差も小さいことも確認できた。

実燃費
意外にも新型タントはターボ車とNA車の燃費差が大きくなかったが、ターボ車は高速燃費でライバル車と差がついた

Phase(4) ADAS(先進運転支援システム)の進化度は? “スマアシIII”の実力CHECK

REPORT/永田恵一



 ●ACC 
  タントのターボ車には停止まで対応するACC+LKC(レーンキープコントロール)がオプション設定されたことも話題になっているので試してみた。
  まず高速道路では、LKCは車線逸脱の誤警報を出すこともあるものの、高速道路の緩いコーナーにも追従しようとしており、まずまず頑張っていた。しかし、ACCは車間を一番短くしても空き過ぎ、追従中に減速をし過ぎる傾向でギクシャクした。隣の車線のクルマを誤認識し、不必要な加減速が起きるなど「疲れている時ならあったほうがいい」というレベル。
  市街地では広過ぎる車間距離に加え、追従が遅く、交通障害になりそうで、残念ながら「停止後のブレーキホールドがない点」に文句を言う以前の完成度の低さだった。
  しかし採用したこと自体は評価できるので、今後の改良に期待したい。なおACCはスペーシアはなし、N-BOXは30km/hまでのものが付き、N-BOXはターボであれば充分使える完成度に達している。



 ●自動ブレーキ 
  タントの自動ブレーキはJNCAPのテストを受けていないため想像になるが、夜間の歩行者対応や性能向上のアピールがないこともあり、スズキのデュアルセンサーブレーキサポートと同等の軽3番手と思われる。N-BOXの自動ブレーキは少なくとも竹クラスの性能を持つ。

“スマアシIII”の実力CHECK ※評価は10点満点
タントのACCは車間距離を最も短くする設定にしても車間が空き過ぎる

まとめ



 最後に新型タント2台とライバルの2台であるN-BOXとスペーシアギアの各評価項目をすべて合算して総合得点で評価してみた。
 その結果、1位はこのクラスに君臨するN-BOXとなり、そのあとにタントカスタムタント標準モデルが続きスペーシアギアという順位になった。
 ユーティリティやコストパフォーマンスではタントも善戦したのだが、ポイントとなったのはやはり走りとADASの追従機能だった。やはりN-BOX強し!

軽スーパーハイトモデル総合得点
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